クライミング体験イベント

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クライミング体験イベント
2005年8月7日

森林体験プログラム

 今回のイベントは、北杜市が瑞牆山自然公園で行なっている「森林体験プログラム」の1つとして開催された。これは公園の有効活用の一環として、昨年から始まった企画で、一般の親子20人くらいを対象に、オリエンテーリングや野外観測、クラフト作り、水晶さがしといった様々な遊びを、年に3~4回ほど開催する一連のプログラムである。昨年、北杜市との話し合いの中で企画を紹介され、ぜひクライミングもその1つとして取上げたい、ということになり、その後何度か話し合いを重ねて、今回の開催が実現した。

計画および準備

 開催日は、クライミングには良いシーズンとはいえなかったが、子供が参加し易い時期ということで、8月の夏休み中に決定。春から連絡会のメーリングリストでアイディアを出し合い、下見と場所・内容の決定、岩の掃除などを行う。場所はエビス岩の基部にある、大黒岩と呼んでいるスラブ状のハイボルダーとその周辺の小さなボルダー。瑞牆のメインの岩場は、アプローチが長く、また、ビギナーに適した岩がなかったため、この場所が選ばれた。前日には、知り合いのビギナーや子供をよんでリハーサル、岩の掃除、ロープのセッティング。ハイボルダーにはボルトなどの支点がなく、また岩が独立した形状であるため、周辺の木やポケットにカムをセットするなどして、複数方向からの支点の設置が必要とされたが、幸いなことに連絡会にはその筋のエキスパートが多いので、十分に安全な設置ができた。しかし、夕方に雨が降り出し、一時的な大雨になり、夜も断続的に雨が降ったため、岩は完全に濡れてしまった。

 参加者の募集は、出足が鈍かったものの、その後の連絡会の呼びかけにより、予定していた20人、親子7組(子供はすべて小学生)が集まった。参加者のシューズ、ハーネス、チョークバックはロストアローとマムートの提供により、全員に行き渡らせることができた。また、ロストアローからは、トップロープ用のロープも支給された。その他の道具は連絡会で持ち寄り、マットも5~6枚ほど用意した。

イベント内容

 9時40分頃には、参加者全員が集合して、南裏からの挨拶の後、参加者のシューズとハーネス合わせを行なう。子供用の道具がやや少なかったが、ギリギリの数で間に合った。これら道具は今日一日大事に自己管理し、最後に必ず返却するように参加者に伝える。 15分ほど歩いて、10時半に岩場着。トップロープのルートは、一部が濡れていたため、急遽雑巾で拭き取る作業を行ない、その間、乾きの早かったボルダーを使って体験クライミングを始める。最初に子供を登らせ、岩の下、途中、上にスタッフがついてスポットしてアドバイスをおくる。10級ぐらいのとても易しい課題で、高さもなかったせいか、子供はすぐにスルスルと登ってしまい、登った子供から別のボルダーで遊ばせる。

 ボルダリングの後、何とか登れる状態になったトップロープを始める。ホールドにはチョークをつけ、岩の上と下からスタッフがアドバイスを送る。やや難しい箇所や高いところで苦労していたが、子供とそれに続く大人もなんとか完登した。極端に易しい課題ではなかった点が、かえって充実感を与えたようで、どの親子も完登すると嬉しそうに喜び合っていた。

 手の空いた子供が、退屈することが考えられたので、近くにチロリアンブリッジ用のロープをフィックスしておいた。低めに設置したロープに、滑車でハーネスを付け、ロープを引いて移動させるだけだったが、子供にはかなり受けて、何度も遊びたがって順番待ちになった。

 12時半ごろに北杜市の職員が管理棟で用意した昼食(おにぎり等)を運んできたため、一時中断して昼食。スタッフの分も用意され、大変ありがたい支給であった。 2時過ぎに、参加者のほぼ全員が、用意された課題、ルートを一通りトライすることができたため、体験クライミングを終了する。参加者を全員集めて、帰る準備させて管理棟に戻り、道具を回収して、挨拶のあと解散。3時少し前にすべてが終了し、ほぼ予定通りに終わる。どの親子も、初めての体験にかなり満足した様子だった。

まとめ

 前日の大雨と当日の曇り空で、かなり天候が危惧されたが、何とか降られず、岩の乾きもギリギリのところで何とかなった。親子での参加を前提にしたせいか、子供の聞き分けがよく、トラブルもなく、一番の心配事であった怪我まったくなかった。参加する側にとっても、大人700円、子供500円で、昼食付きでこれだけ遊べたのだから、十分に満足できた内容だったのではないかと思う。

 反省点としては、広報の遅れから、参加者の出足が悪く、連絡会の呼びかけにより、県外からの参加が何組があった点であろう。基本的には参加は自由であり、県外から知人等を呼んだとしても、けしてサクラではないのだが、地元からの理解を得るためには、地元民の参加がより望ましかった。この点は、やや広報を北杜市任せにしてしまったことが問題で、キャッチーなポスターをつくるなどして、もっと自分たちでアピールするべきだっただろう。

 しかし、今回は初めての試みで、読めない部分が多かったことからすれば、トラブルもなく終えたのだから成功といえる。多少なりとも、今後、瑞牆でのクライミングが、地元などの理解を得て、より開けたものになるための布石になったといえるだろう。今のところ、次回は未定だが、今後はより、地元の理解を重視し、単にアスレチック体験としてのクライミングではなく、我々がこの山とどう関わってきて、どう必要としているか、ということを大人にアピールし、また、この森がどのようにでき、どんな恩恵を私たちは森から受けているのか、どんなめずらしい植物や昆虫と共存しているのか、ということを子供に伝えられればよいと思う。

協力  LOSTARROW  MAMMUT

文責 室井登喜男

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